日産の「ハイパー」EVコンセプトカーシリーズは、2023年に発表されたハイパーアーバン/ハイパーアドベンチャー/ハイパーツアラー/ハイパーパンク/ハイパーフォースの5台です。都市生活からアウトドア、上質な移動、創作活動、スポーツ走行まで、用途ごとに異なるEVの未来像を示したものです。
5台の発売日や国内価格が決まった市販車シリーズではありません。本記事では日産の公式発表をもとに5台の違いを一覧で比べ、2026年10月30日時点で市販化について何が公式に発表されているのかを整理します。
自動車専門家 Mr.K「ハイパー」はJAPAN MOBILITY SHOW 2023に向けたコンセプトカーの名前です。ニュースで見た車名が市販車の新ラインアップに見えてしまいがちなので、ここは意外と盲点なんですよ。
この記事でわかること!
- ハイパーシリーズ5台の名前と発表順(第1弾〜第5弾)
- アーバン/アドベンチャー/ツアラー/パンク/フォースの違い(一覧表)
- V2X・e-4ORCE・全固体電池のうち、シリーズ共通の構想と車ごとに明記された要素
- 市販化・発売日・価格の公式状況と、新型エルグランド・GT-Rとの関係
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※調査基準日:2026年10月30日。日産公式サイト・日産ニュースルームの公開情報を照合しています。
日産「ハイパー」EVコンセプトカーシリーズ5台の違いを一覧で比較

ハイパーシリーズは2023年10月に順次発表された5台で、第1弾がアーバン、第2弾がアドベンチャー、第3弾がツアラー、第4弾がパンク、第5弾がフォースです。用途だけでなく発表形態も異なるため、まず次の表で全体像をつかんでください。
日産はJapan Mobility Show 2023の総合ページ(日産自動車)で、このシリーズを「電動化」「EVエコシステム」「知能化」の3本柱とともに紹介しています。また日産「EVの歩み 2023-2025」にも、Japan Mobility Show 2023で5台のEVコンセプトカーを発表したと記されています。
| 車名 | 発表日(順番) | タイプ・対象ユーザー | 代表的な技術・特徴 | 発表形態 |
|---|---|---|---|---|
| ハイパーアーバン | 2023/10/3 (第1弾) | クロスオーバーEV/都市・郊外で暮らし、環境や社会課題への意識が高い人 | ソフト更新・パーツ交換で長く乗る発想、V2Xで自宅・店舗・オフィスへ給電、AIによる充放電制御 | デジタルモデル(公式) |
| ハイパーアドベンチャー | 2023/10/10 (第2弾) | SUV/アウトドアを楽しみたい人 | 大容量電池で外部機器へ給電、V2H・V2G、e-4ORCE、後席180度回転 | デジタルモデル(公式) |
| ハイパーツアラー | 2023/10/17 (第3弾) | プレミアムEVミニバン/旅行・出張 | 全固体電池、e-4ORCE、フルフラットフロア、完全自動運転技術の構想 | JMS2023出展(報道では実車展示) |
| ハイパーパンク | 2023/10/19 (第4弾) | コンパクトクロスオーバーEV/クリエイター・アーティスト | 多角形を強調したデザイン、AIによる車窓映像の変換、気分に合わせた照明・音楽 | JMS2023出展(報道では実車展示) |
| ハイパーフォース | 2023/10/25 (第5弾) | 高性能スーパーカー/レーサー・ゲーマー | 全固体電池、e-4ORCE、最大出力1,000kW(コンセプト公表値)、AR/VR | JMS2023日産ブースに出展(公式) |
表の「発表日」は、あくまでコンセプトカーとしての公表日です。発売日ではありません。航続距離・充電時間・車両寸法・価格は5本の公式リリースのいずれにも記載がないため、推測で埋めていません。
車購入検討者5台ともモーターショーで実物が並んでいたと思っていました。デジタルモデルの車もあるんですね。
そのとおりです。日産のリリースは、アーバンとアドベンチャーをデジタルモデルとして発表したと明記しています。CG画像を見て「実車の写真」と受け取らないよう、表の右端の列を目安にしてください。
ハイパーアーバン(第1弾):都市と郊外で長く使うクロスオーバーEV
ハイパーアーバンは2023年10月3日に発表されたシリーズ第1弾で、都市でも郊外でも活動的に暮らす人に向けたクロスオーバーEVです。ソフトウェアの更新やパーツ交換によって、1台を長く使い続けるという考え方が5台の中で最もはっきりしています。
日産自動車ニュースルームの発表(2023年10月3日)によると、主な特徴は次のとおりです。
- エネルギー:V2Xで電池の電力を自宅・店舗・オフィスなどへ供給。日産独自の「Intelligent Charging Management System」がAIで充電と給電を制御し、再生可能エネルギーの活用やピークカットに役立てる構想
- デザイン:ライムイエローのボディに前後を貫くブラックのライン、四隅に配した大径タイヤ
- 室内:万華鏡から着想した三角形のインストルメントパネル。フロントシートのアレンジでソファのような空間をつくれ、ドアは上方に大きく開く
発表は日産テクニカルセンター内のデザインプレゼンテーションホールで行われ、車両はデジタルモデルでした。5台のうち、個別の発表でe-4ORCEに触れていない2台の1つでもあります。
ハイパーアドベンチャー(第2弾):アウトドア向けSUVの特徴
ハイパーアドベンチャーは2023年10月10日発表の第2弾で、アウトドアを思い切り楽しみたい人に向けたSUVです。中心となるのは、大容量電池で外部の機器へ電気を送れることと、e-4ORCEで雪道や山道を走る想定の2点です。
日産自動車ニュースルームの発表(2023年10月10日)では、V2H(家庭への給電)やV2G(電力網との連携)にも触れています。総合ページでは、ジェットスキーなどのアウトドア用品へ給電する使い方が例示されています。
- 車外カメラの映像を映すワイドディスプレイで、前方が透けて見えるような視界を演出
- 180度回転する後席と、リヤドア開口部のはしご状ステップ
- スノーチェーンから着想したホイールやバンパー、空気抵抗を抑える段差の少ないボディ面
アーバンと同じく、発表形態はデジタルモデルです。同じクロスオーバー系でも、アーバンは「暮らしと電力」、アドベンチャーは「屋外での行動範囲」に重心があると捉えると見分けやすくなります。
ハイパーツアラー(第3弾):全固体電池とe-4ORCEを掲げたプレミアムEVミニバン
ハイパーツアラーは2023年10月17日発表の第3弾で、プライベートの旅行やビジネス出張を想定したプレミアムEVミニバンです。高エネルギー密度の全固体電池、e-4ORCE、フルフラットフロアが3つの柱になっています。
日産自動車ニュースルームの発表(2023年10月17日)には、さらに次の構想が並びます。
- 完全自動運転技術を前提に、運転席と助手席が360度回転する室内
- バイオセンシングを組み合わせたAI機能
- 後席乗員のウェアラブルディスプレイとの連携、V2Xによる外部との電力連携
日産の総合ページが全固体電池の搭載を明記しているのは、5台のうちツアラーとフォースの2台だけです。なお「ミニバンだから新型エルグランドのこと?」という疑問については、後半の市販化の節で公式発表に沿って整理します。
ハイパーパンク(第4弾):クリエイター向けコンパクトクロスオーバー
ハイパーパンクは2023年10月19日発表の第4弾で、コンテンツクリエイターやインフルエンサー、アーティストに向けたコンパクトクロスオーバーEVです。5台の中で最も「移動」より「表現」に軸足を置いたモデルといえます。
日産自動車ニュースルームの発表(2023年10月19日)から、特徴を3つに分けて整理しました。
- デザイン:多角形を強調した立体的な外観、23インチの大径ホイール、和紙や折り紙をモチーフにした内装。総合ページでは、見る角度や光で印象が変わる塗装にも触れている
- AI演出:車載カメラの景色をオーナーの好みに合わせて漫画調などに変換し、3面ディスプレイに表示。ヘッドレストのバイオセンシングセンサーで気分を読み取り、照明や音楽を調整
- 電力:V2Xで仲間とのイベント時に給電でき、創作用デバイスも車載バッテリーで充電・使用できる
リリースにe-4ORCEや全固体電池の記載はありません。当時はクロス新宿ビジョンでの映像放映や、ゲーム「フォートナイト」内の体験コンテンツも展開されました。
ハイパーフォース(第5弾):最大1,000kWを掲げたスーパーカーEV
ハイパーフォースは2023年10月25日発表の第5弾で、シリーズ最後の1台となる次世代の高性能スーパーカーEVです。最大出力1,000kWはコンセプトとして公表された値であり、市販車の実測スペックではありません。
日産自動車ニュースルームの発表(2023年10月25日)が示す主な内容は次のとおりです。
| パワートレイン | 全固体電池+高出力モーター、最大出力1,000kW(コンセプト値) |
| 走り | e-4ORCE、高強度カーボンの軽量車体、NISMOと共同開発した空力 |
| モード・表示 | サーキット向け「R」モードと長距離向け「GT」モード。メーター表示はポリフォニー・デジタルと協業 |
| デジタル体験 | AR/VR対応ヘルメット、LiDARを使った自動運転技術 |
| 展示 | JAPAN MOBILITY SHOW 2023(一般公開2023/10/28〜11/5)、東京ビッグサイト東4ホールの日産ブース |
1kW=約1.36PSで換算すると約1,360PSに相当します(編集部の単純換算)。ただし日産はハイパーフォースを「GT-R」とは呼んでいません。現行GT-Rの仕様を知りたい場合は、GT-R 2025年モデルの新旧の違いをまとめた記事を参考にしてください。
V2X・e-4ORCE・全固体電池の違いと、ハイパーシリーズ市販化の公式状況
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V2Xはシリーズ全体の構想、全固体電池は総合ページでツアラーとフォースに明記された技術です。市販化については、2026年10月30日時点で確認した日産の公式資料に、5台の発売日・国内価格の発表は見当たりません。
コンセプトカーに描かれた技術は、そのまま量産済みという意味ではありません。この区別を押さえておくと、ニュースの見出しに振り回されにくくなります。
V2X・e-4ORCE・全固体電池:シリーズ共通の構想と車ごとの違い
シリーズに共通するのは、V2Xを中心とした「EVエコシステム」の構想です。一方で全固体電池はツアラーとフォース、e-4ORCEはアドベンチャー・ツアラー・フォースについて公式資料が言及しています。
| 技術 | アーバン | アドベンチャー | ツアラー | パンク | フォース |
|---|---|---|---|---|---|
| V2X(外部給電・電力連携) | ○ | ○ | ○ | ○ | - |
| e-4ORCE | - | ○ | ○ | - | ○ |
| 全固体電池 | - | - | ○ | - | ○ |
| AI・バイオセンシング等 | ○ | - | ○ | ○ | - |
初心者ユーザー「-」の車は、その技術が付いていないってことですか?
自動車専門家 Mr.K「付いていない」とまでは言えません。今回確認した日産の資料に書かれていない、という意味です。コンセプトの段階なので、表は「公式が何を強調したか」の比較として読んでください。
総合ページでは「知能化」として、AIが運転者のデータをもとに照明・温度・音楽を調整する構想や、LiDARをベースにした自動運転、ソフトウェア・ハードウェアの定期的な更新も挙げています。用語の補足は下にまとめました。
V2X・V2H・V2Gとは?
V2X(Vehicle to Everything)は、EVの電池の電気を車の外で使う仕組みの総称です。家庭へ送るのがV2H(Vehicle to Home)、電力網とやり取りするのがV2G(Vehicle to Grid)です。日産の総合ページは、これをシリーズ全体の「EVエコシステム」として説明しています。
e-4ORCEとは?
前後のモーターで4輪の駆動力やブレーキを電子制御する、日産の電動駆動4輪制御技術です。ハイパーシリーズでは、雪道・山道(アドベンチャー)、滑らかな乗り心地(ツアラー)、コーナリング性能(フォース)と、車ごとに狙いを変えて説明されています。
全固体電池とは?
電解質を液体ではなく固体にした次世代電池です。日産はツアラーとフォースに高エネルギー密度の全固体電池を組み合わせる構想を示しましたが、これはコンセプト上の設定です。ハイパーシリーズの車両として量産搭載が発表されたわけではありません。
EV・ハイブリッド・e-POWERなど電動車の基本的な違いから整理したい方は、BEV・PHEV・HEVの違いを整理した記事もあわせてどうぞ。
市販化はされる?ツアラーと新型エルグランド、フォースとGT-Rの区別
2026年10月30日時点で、日産のニュースルームと国内向け商品情報から、ハイパーシリーズ5台の発売日・国内価格の発表は確認できませんでした。また、ハイパーツアラーを新型エルグランド、ハイパーフォースをGT-Rと同一の車だとする公式発表もありません。
| 確認項目 | 公式に発表済み | 公式には未発表 |
|---|---|---|
| 5台の存在・特徴 | 2023年10月に5本のリリースで発表 | - |
| 5台の発売日・国内価格 | - | 確認できず |
| 航続距離・寸法 | - | リリースに記載なし |
| ツアラー=新型エルグランド | - | 公式リリースに言及なし |
| フォース=次期GT-R | - | 公式に「GT-R」とは呼んでいない |
ハイパーツアラーと新型エルグランドは別物として見る
新型エルグランドは2025年10月29日にJapan Mobility Show 2025で先行公開され、2026年7月16日に発売されました(いずれも日産自動車ニュースルーム)。パワートレインは第3世代e-POWERで、全固体電池を掲げたEVのハイパーツアラーとは駆動の考え方が異なります。
この2本のリリース本文には、ハイパーツアラーやJMS2023のコンセプトカーへの言及がありません。一部のメディアは両車の関連を指摘していますが、日産が「ハイパーツアラーの市販版」と発表したわけではない点を区別しておきましょう。実際に買えるミニバンとしての新型エルグランドの価格・装備は、エルグランド フルモデルチェンジの最新情報記事で確認できます。
ハイパーフォースを「発売が決まった次期GT-R」と考えない
ハイパーフォースは丸目4灯のテールランプなどから、次期GT-Rと結びつけて報じられることがあります。とはいえ日産の公式リリースは「次世代のスーパーカー」と位置づけており、GT-Rの後継車とは書いていません。
次期GT-Rをめぐる経営陣の発言はメディアで伝えられていますが、ハイパーフォースそのものの市販化や、両者の関係を公式に発表した資料は確認できませんでした。
- 2023年10月の日付は「発表日」で、発売日ではない
- 2024年の北京モーターショーで日産が公開した新エネルギー車(NEV)のコンセプト4車種は、ハイパーシリーズとは別の発表
- 1990年代末に登場した日産の小型EV「ハイパーミニ」も、名前は似ていても別のモデル
公式発表の確認先と、今後チェックしたいページ
市販化の新情報は日産ニュースルームで、5台の発表内容はJMS2023総合ページと各リリースで確認できます。今後の発表を追うなら、次の順番で見ると効率的です。
新しい記事を見かけたら、日産ニュースルームで車名を検索し、発売日と価格が明記されたリリースがあるかを確かめます。報道や予想記事だけでは「発表済み」とは判断できません。
本記事の内容は2026年10月30日時点の確認に基づいています。日産から5台に関する新しい発表があった場合は、上記の公式ページの情報を優先してください。
まとめ:ハイパーシリーズ5台は未来のEV像、市販化の話とは分けて見る

日産の「ハイパー」EVコンセプトカーシリーズは、2023年10月に発表された5台のコンセプトカーで、市販車のラインアップではありません。5台の個性をひと言でまとめると次のとおりです。
- ハイパーアーバン:更新しながら長く使う、都市・郊外向けクロスオーバー(デジタルモデル)
- ハイパーアドベンチャー:外部給電とe-4ORCEのアウトドアSUV(デジタルモデル)
- ハイパーツアラー:全固体電池とe-4ORCEを掲げたプレミアムEVミニバン
- ハイパーパンク:AI演出が特徴のクリエイター向けコンパクトクロスオーバー
- ハイパーフォース:最大1,000kW(コンセプト値)のスーパーカーEV
2026年10月30日時点で、5台の発売日や国内価格は公式に発表されていません。新型エルグランドやGT-Rとの関係も、日産が公式に結びつけたものではない点に注意が必要です。
気になった1台があれば、まずは日産の公式ページで発表内容と画像を見比べてみてください。購入を期待する場合は、ニュースルームで「発売日・価格」が明記されたリリースが出ているかを確かめるのが確実です。
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